デリバティブ偏愛家の日記

2018/10 第2週 米金利分析

再び2月の暴落を思わせる金利上昇→株安パターンに。

 

 1.イールドカーブ

縦軸に利回り、横軸が満期までの日数。指定日は前回記事を投稿した時の基準日(10/5)の水準。

2月と同様に一旦金利が上がり過ぎて株が急落すると、リスクオフで債券買い戻し→金利低下で、水準は先週末に近い。

 

2.中期イールド

主要年限(先物が存在する年限)の中期推移。

この波乱の中でもすくすくと上昇する2Y…

 

3.中期スプレッド

主要年限同士の差分(スプレッド)。計算式は5Y-2Y。

主に10Yの金利低下で2-10が低下。年前半ならこれでまた「株高+フラットニング」再開なのだが、今回は8~9月のスプレッドのもみ合いもあって、方向感が分からない。

 

4.中期バタフライ

バタフライとは、短い年限と長い年限に買い(売り)、その間にある年限を売る(買う)取引手法で、イールドカーブの形状に注目するもの。「2-5-10」の計算式は以下。「2-5-10」が左軸、「5-10-30」が右軸。

5Y×2 – (2Y + 10Y)

 

5.短期イールド変化

100営業日(約5ヶ月)前を基準1として、そこから各主要年限の金利がどう変化したか。

 

6.短期10Y vs 5-10

左軸に10Y金利、右軸が5Y-10Yスプレッド。データは過去100営業日分。

 

7.長期10Y vs USDJPY

過去1,000営業日の10Y金利(左軸)とUSDJPY(右軸)の推移。

このクラスのリスクオフでもUSDJPYの下げは限定的。これは謎。

 

8.短期10Y vs USDJPY

データは全く上と同じで、期間が100営業日。

 

9.短期為替相関

主要年限それぞれと、USDJPYの相関係数の推移。相関係数は前日比を過去20営業日分使って計算。

 

10.中期インプライドボラティリティ推移

左軸が10Y金利、右軸がその先物オプションのIV(TYVIX)。

一旦、金利低下+IV低下という沈静化の方向。他のアセットクラスと異なり、債券は上げても下げても幅が大きければIVが上がる傾向にある(あくまで安全資産だから)。ある意味こちらの方が株よりも教科書通りの特性な気がする。

 

11.中期為替・金利インプライドボラティリティ比較

左軸がUSDJPYのIV(JYVIX)、右軸が10Y先物オプションのIV(TYVIX)。

今回から追加してみたUSDJPYのVIX(JYVIX)。全体的にまあまあ似た動きだが、直近の大荒れに対して為替の反応が鈍い印象ではある。

 

12.10Yスワップスプレッド推移

左軸が10Y金利(10Y国債利回り)、右軸が10Yスワップスプレッド(10Yスワップ金利 – 10Y国債利回り)。

スワップスプレッドが荒れてるのは市場要因なのか…?まあ最近スプレッド自体はほとんど動いていないので金利の相対的に大きな動きに振り回されて誤差が大きくなるのは分かる。

 

13.5Y、10Yスワップスプレッド推移

左軸が5Yスワップスプレッド、右軸が10Yスワップスプレッド。

 

総括

2月も今回も、金利が調子に乗って上がり過ぎて株が暴落→「あ、やりすぎました」みたいにリスクオフで金利低下という構図が続く。

これは筆者のぼやきに近いが、巷ではまた「VIXに大きな買いが入り、相場の急落を増幅」というようにVIXの悪の根源としたがる人もいるようだが、株先とVIXは綺麗に逆相関なので、別に「VIX急騰→株下落」だけではなく、「株下落→VIX急騰」でもあり、これは鶏が先か卵が先かの議論で意味が無い。また、「リスクパリティがボラ上昇で株売り→これでボラがさらに上がって更なる売りを誘発して株の暴落に」とリスクパリティ戦略を目の敵にする解説もあるが、むしろその機械的なオペレーションでボコボコにされているのは彼らなのだから、そこは粛々と下げた株を買い増せば良いのでは、と思ってしまう。

因みにリスクパリティは筆者が銀行員時代も人気で、銀行として運用会社からファンドを買っていた。債券のポートフォリオと、独立した為替のポートフォリオの二本立てで、後者は債券ポートのリスクが最小になるように過去の相関やボラ等から機械的に計算されて通貨別の保有比率を調整するという、楽し気な構成だった(今この相場でどうなっているのかは知らないが)。

さて、今週からCBOEの公表するJYVIXも追加してみた。同指数はCMEに上場する円先物(CME的にはUSDJPYではなくJPYUSD)のオプションから計算されるVIXで、流動性的にもそれなりに信頼性のあるデータと思われる。ただ、これは上場オプションの常だが残存期間が短いものばかりなので、あまり先の政治イベントの織り込み度合い等の分析には不向き。データはCBOEのサイトから取得可能。

上図はUSDJPYと10Y債先のVIXの長期比較。近からず遠からずな動きだろうか。これはもう少し掘り下げて分析したいところ。また、この指数はEUR、GBPの分も公表されており、一旦は日経の方のIV分析の記事に分析を載せて、最終的には日経IV分析の記事をボラ全般の分析記事に変えて行こうかと模索中。

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